
最近オープン前に出勤し、電気をつけたら厨房の作業台に小さな虫をよくみかけるけど、営業中はみかけないからまあ大丈夫かな。。

最近キッチンの周りでよく虫を見かけるからこれってゴキブリ!?ひとまずバルサン焚いたし大丈夫だよね…。。

マニア
そこの大将!奥さん!ちょっと待って下さい!
「ゴキブリ」に安心するのはまだ早いですよ。
安易に考えるととんでもない事になりますよ。
これから暑い日が続き夏本番ということで、このシーズンに多い相談事が『虫』に関する内容です。
その中でも特に多いのは不快害虫の代名詞『ゴキブリ』についてです。
ゴキブリは虫の中では、ハチなどのように襲ってくるわけでもなく、刺すわけでもありません。
また、飲食店での嫌われ者『ねずみ』のように食べ物を食べたり、機械のケーブルをかじったり被害を与えたり悪さをするイメージもないのに何故にこんなにも嫌われているのでしょうか。
今回は飲食店の厨房内だけではなく、一般家庭のキッチンでも発生しやすく一番やっかいな『チャバネゴキブリ』の生態や撃退方法、また発生させないための対策について徹底解説していきます。
※当ページではゴキブリの写真は一切しようしていません。不快に思われる方もいらっしゃると思いますので、気になる方は記事内の画像リンクを参照下さい。
そもそもゴキブリとはどういう生き物?

ゴキブリは3億年前からいる最古の有翅(ゆうし)昆虫で生きた化石と言われております。
黒光りし、時には大群でウジャウジャいる姿はほとんどの人が不快な気持ちになってしまいます。
またゴキブリは不快にさせるだけではなく、病原菌の媒介やアレルギーの原因にもなります。
ゴキブリの生態について

基本的に暖かくて水気があり、栄養源となる食べ物ゴミなどがある暗くて狭い場所を好みます。(高温多湿で夜行性)
ゴキブリの食べ物(エサ)
かなりの雑食性で、食べカスをはじめ、環境によっては壁紙や新聞紙・段ボールなどの紙類、糞(フン)や髪の毛などあらゆるものを食べます。
また成長過程により食べるエサにも変化があります。
成虫⇒食材・髪の毛・紙類
幼虫⇒成虫の糞(フン)
ゴキブリの繁殖力
よくゴキブリの生息数について耳にするのは、「ゴキブリが1匹でもいたら100匹いる」とか「オス・メス揃うと1万匹以上」いるとか…。。
この話は本当です!!
チャバネゴキブリでいえば卵鞘(卵をたくさん入れたカプセル)を5~6回程度産卵すると言われています。
卵鞘の中には卵が20~最大50個程度まで入っているケースもあります。
【チャバネゴキブリのメス1匹が生み出す子供の数】
卵鞘(卵40個)×産卵5回=200匹
【生まれた子供が生み出す孫の数】※オス100匹・メス100匹同割合
100匹のメス×卵鞘(卵40個)×産卵5回=20,000匹
ゴキブリの撃退が難しい大きな理由がこの非常に高い繁殖力にあります。
ゴキブリを撃退する方法はこの繁殖力をどう抑えるかがポイントになります。
ゴキブリの単為生殖
ゴキブリの種類にもよりますが、日本に生息しているワモンゴキブリはオスがいない環境下の場合メスのみで産卵が可能です。
動物の中にはオスがいるときは有性生殖で,メスだけのときには単為生殖に切り替える繁殖戦略をもつものがおり,これは条件的単為生殖と呼ばれます。
ワモンゴキブリを用いて、単為生殖を促進する環境要因について調べ、メスが複数で隔離された条件で単為生殖が促進されることを示していますhttps://www.lfsci.hokudai.ac.jp/info/1970.html
い引用元:北海道大学大学院理学研究院
これはヤバイですね。もう笑うしかありません。
撃退どうこうじゃなく、純粋に気持ち悪いですね。(笑)
ゴキブリの団結力(集団性)
ゴキブリの糞(フン)には同種のゴキブリを集める集合フェロモンが含まれています。
また、集合フェロモンとは別にメスがオスを引き寄せるために放つ性フェロモンにより更に異性のゴキブリが集まることもわかっております。
単独行動をするよりも集団でコロニーを形成し密集することが多く、瞬く間に生息数・生息エリアを拡大していきます。
生息密度が高くなると水やエサを求め移動する個体が増え、広範囲に生息します。
撃退するポイントとしても、生息エリアが広範囲に及ぶと駆除方法や薬剤が異なります。
ゴキブリによる衛生的・物理的影響

まず衛生面から言うと、サルモネラ菌や赤痢菌・小児麻痺ウイルスなどの病原菌を持ち込むリスクがあります。
生息する場所が不衛生なことが影響されます。
またゴキブリの糞(フン)や死骸がアレルゲンとなり、放置しておくと様々なアレルギーを起こす要因となる恐れがあります。
時には、ネズミ同様に食品を食べたり、電気系統の物理的な問題(ショート等)を引き起こすこともあります。
ゴキブリの種類について
まずはみなさんが日頃みかけるゴキブリは大まかに分類すると小型ゴキブリもしくは大型ゴキブリの2種類です。
小型ゴキブリは『チャバネゴキブリ』です。
大型ゴキブリとは『クロゴキブリ』と『ワモンゴキブリ』のことを指します。
以外と皆さんがキャーっと叫びたくなるイメージをしているゴキブリは大型のゴキブリで、特に『クロゴキブリ』や九州以南(特に沖縄)に生息している『ワモンゴキブリ』は人によっては飛んで向かってきたという経験をされた方がトラウマになる事もあるとか…。。
しかし、意外と衛生管理のプロからすると大型ゴキブリよりもチャバネゴキブリが厄介で一度増えてしまうと一般の方には駆除や撃退が難しいケースが多いと考えています。
チャバネゴキブリ
大きさ:小型(12~15mm)
見た目:全体的に淡黄色(写真は⇒コチラ)
生息地域:日本全国対応
生息場所:屋内型。寒さに弱く、暖房設備の整ったオフィスやホテル・飲食店など屋内であればどこにでも繁殖する可能性がある。一般家庭でも適切な対策をとらなければ、キッチン内で繁殖するケースもあります。
侵入経路:段ボール箱や食材に紛れて侵入
移動範囲:半径1~5m程度
産卵回数:3~7回卵鞘として産卵
卵鞘の卵数:30~40個
一匹で約200匹の卵を産卵する可能性があり、ゴキブリの中で卵⇒幼虫⇒成虫までのスピードが非常に早い点がチャバネゴキブリの注意する大きなポイントです。
クロゴキブリ
大きさ:大型(30~40mm)
見た目:全体に光沢があり、クロ褐色(写真は⇒コチラ)
生息地域:日本全国対応
生息場所:屋内・屋外型。木造の日本家屋・コンクリート造りの住居に多い傾向です。屋外であれば下水などに多く生息する。
侵入経路:自発的に屋外から侵入
移動範囲:約300m(飛翔能力5~500m)
産卵回数:15~20回卵鞘として産卵
卵鞘の卵数:15~20個
寿命:成虫で6~7か月程度
日本全国で一番ポピュラーなゴキブリです。飛んでくるゴキブリです。(笑)
ワモンゴキブリ
大きさ:大型(30~45mm)
見た目:茶褐色で光沢があり、前胸背板に黄白色の輪のような紋様(写真は⇒コチラ)
生息地域:南九州・沖縄(全国展開中)
生息場所:屋内・屋外型。日本における屋内性ゴキブリでは最大級です。
主に下水内で、マンホールの中や暖房設備のあるビル内、ゴミ置き場から室内へとエリアを拡大。
侵入経路:自発的に屋外から侵入
移動範囲:数m~数百m(広範囲)
産卵回数:10~84回卵鞘として産卵
卵鞘の卵数:10~20個
寿命:半年~2年
ワモンゴキブリの最大の特徴は寿命が長く、産卵回数が以上に多いことです。
週に1回は産卵し、寿命が尽きるまで50回以上繰り返します。1匹のメスが生む幼虫の数は最低でも約500匹に上ります。
チャバネゴキブリの生息しやすいポイント

「暗い」「狭い」「暖かい」の3大要素がチャバネゴキブリを含めたゴキブリ全般に言える生息しやすい場所です。
○冷蔵庫(業務用冷凍冷蔵庫含む)
- モーター部(熱源周辺)
- ドア蝶番とパッキンの内外
- 冷蔵庫背面や什器との隙間
- 脚部周辺
- 上部パネル内モーター周辺(業務用のみ)
- 底部ドレン(業務用のみ)
○流し台
- シンク天板や側板との隙間
- 背面部の壁との隙間
- 収納棚内部四隅
- 隣の什器との隙間
- 蛇口周辺や配管周りと引き込み口
○食器棚
- 棚内部の四隅
- 扉内側と車輪
- 扉とレールの隙間
- 脚部周辺
- 引き出し内やレール内
- 壁や什器との隙間
- 天板と側板の隙間
- 使用していない食器や箱の隙間
○食器洗浄機
- モーター部(熱源周辺)
- ドア蝶番とパッキンの内外
- 冷蔵庫背面や什器との隙間
- 脚部周辺
- 上部パネル内モーター周辺(業務用のみ)
- 底部ドレン(業務用のみ)
○コールドテーブル
- モーター部(熱源周辺)
- ドア蝶番とパッキンの内外
- 冷蔵庫背面や什器との隙間
- 脚部周辺
- 上部パネル内モーター周辺(業務用のみ)
- 底部ドレン(業務用のみ)
○排水溝・グリストラップ(チャバネゴキブリ生息の可能性はあまりないですが、その他ゴキブリの生息場所)
基本的には「暗い」「狭い」「暖かい」の3大要素をおさえつつ、水やエサが近くにあることが大きなポイントとなります。
チャバネゴキブリの撃退方法

チャバネゴキブリの撃退方法の下記流れとなります。
①あらかじめ生息率の高い場所をチェックする
ゴキブリの有無やローチサイン(ゴキブリの糞)をチェックします。
ローチスポット…ゴキブリの棲家が近くにあることをあらわすサイン。ゴキブリの糞(フン)で見た目がインスタントコーヒーの粉に似ているのが特徴。
②ゴキブリの生息エリアに毒餌を施工する
チャバネゴキブリは移動範囲が狭いため、生息エリア近くに殺虫成分のある薬剤を効果的に設置することが重要です。
専門業者はベイト剤というジェル状の薬剤を中心に施工を行ない、生息数が多い場合のみ噴霧処理や即効性殺虫剤や追い出し用の殺虫剤を使用します。
チャバネゴキブリ撃退にチャレンジする

①チャバネゴキブリを見かけた近くに生息しやすいポイントがないかチェックする。
②ゴキブリの有無やローチスポットがないかチェックする。

③生息ポイント近くに毒餌を設置する。
※生息数が多い場合は、適宜専用の殺虫剤でゴキブリを死滅させるか追い出しを行なってください。
おすすめのゴキブリ撃退セット
家庭用のゴキブリ駆除商品よりは、専門業者が使用する薬剤の方が有効成分などに違いがあるため効果が高いです。
チャバネゴキブリ駆除スターターセットは非常に使いやすくオススメです。

専門業者に依頼する

生息数が多い場合は、無理をせず専門業者に依頼されることをお勧めします。
ゴキブリを増やさない対策

オーナー
ウチは見た目や口コミが重要!!
いくらでも払うからゴキブリが絶対にいない店舗にしてくれ!!

…お気持ちは分かりますが、結論から言うとそれはかなり難しいご相談です。
しかし、「絶対にゴキブリがいない」が難しくても、絶対に増えない環境づくりは可能ですよ♪
まず大前提にゴキブリがいない「0」の状態は住居や店舗ではどうしても不可能に近いです。
何故なら、外部から持ち込む可能性があることと、外部と繋がっているドアや排水口などが存在するからです。
しかし、これまでのゴキブリの生態を把握し、適切な対策を行なうと侵入したゴキブリを増やさず、ちゃんと駆除することが可能です。
ゴキブリの侵入を防ぐ

○搬入荷物のチェック
搬入物にチャバネゴキブリやその卵が付着していないか目視等でチェックする。
特に段ボールは混入リスクが高く、開封後速やかに処分する。
○ドアの開閉や開けっ放しをチェック
暖かい地域によっては、まれにドアの開閉などから侵入するケースもあるためチェックする。
整理整頓をし、生息場所を減らす

○生息場所を減らす
モノが多いと「狭い」「暗い」「暖かい」がどうしても生まれてくるので、不要なモノを処分し整理する
段ボールなどの紙製品でモノを保管せず、プラスチック製の収納ケースなどを活用する(巣やエサになる可能性)
○ゴキブリのエサを減らし寄せ付けない
臭いのある食材やゴミなどは蓋つきのケースを活用する
食器や食材を放置せず、すぐに片付ける
食べ物クズが多いコンロ周辺や冷蔵庫・シンク周辺下の清掃をこまめに行う
万が一のゴキブリの侵入に備える
○侵入したゴキブリを駆除する
生息リスクの高い箇所へ残効性の薬剤を施工するもしくは毒餌を設置する
※市販の「毒餌設置タイプ」を長期間保管するとそれ自体が巣になる可能性があるため、最長でも1年毎に定期交換を行ないましょう。
まとめ

衛生管理のプロとしては生息数が多い場合は、必ず専門業者に依頼されることをお勧めします。
しかし、しっかりとチャバネゴキブリの生態を理解し適切な撃退方法を行なえば必ず駆除することは可能です。
よければ参考までにチャレンジしてみて下さい!
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